タクシー運転手牧野幸一は、幼い頃に父親を亡くし、今は、妻と漫才師を目指す息子と暮らしている。牧野の父親に対する思い出は、小学3年生の記憶で止まったままだ。そんな牧野は、数十年振りに、高校時代の野球部の同期、金子剛史と再会する。時の流れなど感じさせることなく二人は意気投合する。
ある日、牧野は、再会したばかりの金子から、借金の連帯保証人を頼まれる。最初は躊躇する牧野だったが、苦楽をともにした仲間が必死に懇願する姿を見て、保証人を承諾する。
ところが、その直後、金子は失踪。牧野は裏切られ、そこから人生の歯車が狂いだす。
堅実に生きてきたはずの牧野は多額の借金を背負ってしまう。
厳しい取立て、借金を返済するための借金を重ね。そして生活苦に陥る。
牧野は、仕事仲間、息子にまで金を無心し、まわりの信頼を失っていく。
さらに事態は、妻と息子もを巻き込み、家族は崩壊。牧野は、次第に孤立し、アルコールに溺れていく。
精神的にも追い詰められた牧野はある運命の決断をする。
折りしもその日は、息子の漫才コンテスト決勝戦の日だった。
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